Lichtung

難波優輝|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

2021-01-01から1年間の記事一覧

SFの7つの美:魅力的なSFのレシピのために

">イスタヴァン・チチェリー-ロナイ・ジュニア(Istvan Csicsery-Ronay JR.)による『SFの7つの美(The Seven Beauties of Science Fiction)』は、SFジャンルに特徴的な7つの魅力を星座を辿るように論じていくSFスタディーズの重要書である。 ">SFを好んで…

家父長制を批判する三つのやり方

「家父長制(patriarchy)」とは何か*1 縁談が家名の下に進められる。役所の手続きで夫婦同姓を強制される。男性において称賛される勇敢・自由・自律といった振る舞いを女性が行うと非難される。避妊用ピル/緊急避妊薬の販売や流通許可の決定権を男性が持っ…

「人間の美学」に向けて

生の有意味性の哲学を読み、人間の美学の構想が生まれた。 人間の美学(Aesthetics of Human Beings):人間が人生の中で展開する、道徳的価値や美的価値や認識的価値といった枢要な価値や達成をはじめとする価値を下支えしそれを芳醇にする生の有意味性とい…

廃墟はなぜ魅了するのか?『摩耶観光ホテル』に行って廃墟を美学する。第13回応用哲学会発表「廃墟とペルソナ」資料公開

廃墟はなぜわたしたちを魅了するのかについての美学研究をしました。美学者の難波です。 2021/05/22に第13回応用哲学会のワークショップ「廃墟と亡霊たち」にて、広島工業大学の萬屋博喜さん(ヒューム・哲学)と京都大学の松永伸司さん(ゲーム研究・美学)…

廃墟のどこが廃墟らしいのか? Scarbrough『廃墟の美的鑑賞』(2015)

廃墟鑑賞の美学:廃墟鑑賞とは、過去を想起し、人の手による偉大な建築がいつかは滅びることを未来に予感し、そして、現在において、半ば壊れ、蔦や草木が繁茂する廃墟と向き合うことなのだ。

SFの認知詩学:ピーター・ストックウェル『SFの詩学』The poetics of science fiction

1. 認知詩学とはそもそも何か 2. SFスタディーズの理論派 3. 目次と各章紹介 第一章:出発点:方向と地図。 第二章:マクロ:古い未来 第三章:ミクロ:フューチャープレイ 第四章:マクロ:外宇宙 第五章:中間点、回顧と予期 第六章:ミクロ:ニュー・ワー…

ポルノグラフィの何がわるいのか:修士研究公開

『ポルノグラフィの何がわるいのか』という修士論文を書きました。 間違えられますがバンドの「ポルノグラフィティ」ではなくて。性的な画像とか映像とかのポルノグラフィです。それの何がわるいのか。現代美学と呼ばれる学問からアプローチしました。 この…