Lichtung

難波優輝|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』第9章 はじめに言葉ありき、しかして音楽ありき

第9章 はじめに言葉ありき、しかして音楽ありき この章では、言葉と音楽をめぐる問題をオペラと楽劇の歴史を通して検討する。 第1節ではオペラ以前の歴史を宗教改革との関連から記述し、第2節ではオペラの問題をその形成とともに述べ、第3節では音楽と言葉へ…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』第8章 形式主義の敵たち

第8章 形式主義の敵たち この章では、絶対音楽がなんらかの内容を持つとする非形式主義者の議論を検討、批判する。 第1節では、非形式主義者の議論の動機を確認し、第2節では非形式主義の代表例として、絶対音楽に対するふたつの解釈を扱う。まず、第1に弱い…

音楽学のディシプリン 音楽学の誕生からニュー・ミュージコロジーへ、そしてそれ以後

はじめに 本稿は音楽学のディシプリンを扱っている文献をごく簡単な著者紹介とともに数点列挙したものである*1。 主として自分の備忘録として書かれている。副次的に、音楽学という学問じたいに興味があるひと、すなわち、「音楽学は音楽にどう関わるのか」…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』 読書ノート 第7章 あなたのうちにある情動

はじめに ページを数えるとようやく半分を過ぎたところ。運がよければ夏が来る前に読み終えられそうだ。あせらず、疑問を持ちながら読み進めていきたい。 第7章 あなたのうちにある情動 この章では、音楽がいかにして情動を持つのか、そしてどのようにわたし…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』 読書ノート 第6章 強化された形式主義

第6章 強化された形式主義 この章では、音楽における情動をうまく扱うために、強化された形式主義についての議論とそれに対する反論を概観してゆく。まず第1節で、伝統的な形式主義について確認し、第2節では強化された形式主義を統語論的な要素、そしてその…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』 読書ノート 第5章 形式主義

はじめに 読み進めるほどにあちこちに、これから学ぶべきものが見えてくる。 さまざまな本をひらきつつ、聞き知ったことがらを関連させていければと思う。 それでは、ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』第5章を読んでいきたい。 第1章→ピーター・キヴィ『音楽…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』 読書ノート 第4章 もうすこし歴史の話を

はじめに 断片的だった知識がひとつの流れとして立ち現れる、そうしたことを歴史叙述は行う力があるのだと、キヴィの整理を読んでいると気づかされる。 ピーター・キヴィの『音楽哲学入門』今回で4回目となった。全13章の三分の一の少し手前、まだまだ長いが…