Lichtung

ナンバユウキ|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

「人間の美学」に向けて

生の有意味性の哲学を読み、人間の美学の構想が生まれた。

人間の美学(Aesthetics of Human Beings):人間が人生の中で展開する、道徳的価値や美的価値や認識的価値といった枢要な価値や達成をはじめとする価値を下支えしそれを芳醇にする生の有意味性という価値を感受し・制作し・評価する実践に関する美学。

前段

『生の有意味性の哲学』伊集院利明、2021年、晃洋書房。人生の中での意味(Meaning In Life)は生実現形成:現実世界で多元的な価値を目指し自己と生を作り上げていき、生を生きる活動の充実度により決まるとする説を提示し、Well-BeingやMeaning Of Life との関係も統一的に説明する。おもしろい。

人間のナラデハの価値

おそらく動物たちもまた美的価値を創出・感受できているようには思う(ニワシドリの美的なあずまや)。人生の有意味性が自己像を持つ人間のナラデハ価値になると考えると、人生の意味の哲学とは、人間アートの哲学とも呼べるような、美学と倫理学が入り混じった価値の哲学の分野になるのだろう。

芸術的価値を支えるもの

さる美学者と話していたとき、もしポップアートに対しハイアートがどうしても意図的にナラデハの価値を提示したいとするなら、作品単体だけではなく作家の人間としての徳とか深みで勝負しなければいけないのでは? という話になったのをMeaning in Lifeと諸価値の下支えの議論で思い出した。

人間の美学の範例としてのアイドル美学

アイドルファンとは、もしかするとアイドルの生の有意味性の創造に伴走することで生の有意味性を獲得するような営みであり、だからこそアイドルの愛がファンにつねに第一に向けられているという確約を欲しているのかもしれない。だからファンは見知らぬ恋人の出現に怯える。推すこととMeaning in Life。

人間の美学とキャラクタの美学

キャラクタへの愛とは、特定の美的価値の鑑賞にとどまるものではなく、虚構的な生の有意味性に対する鑑賞実践である。それは、現実の人間に対するのとアナロジカルに、創造された生の有意味性に対する真正な尊敬をキャラクタに対してなす人々や、キャラクタの生き方を生の範例とする人がいるように、フィクションに対する態度と真正な現実的態度の混合した独特な実践である。

人間の美学とバーチャルYouTuberの美学

アバターの出現により、人々はルッキズムを超えられたわけではない。しかし、見た目に並ぶ人の人生の有意味性への感受性がいっそう純化され始める兆候が見られなくもない。それはこれまでも小説や自伝やノンフィクション作品の中で味わわれてきたが、YouTubeという生配信も可能にするプラットフォームと合体し、リアルタイムでの生の有意味性パフォーマンスアートが発達し始めている。