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現代存在論講義Ⅰ ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その2

第一講義 イントロダクション 存在論とは何か→現代存在論講義Ⅰ ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その1 - Lichtung

第三講義 カテゴリーの体系 形式的因子と形式的関係→現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その3 - Lichtung

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第二講義 方法論あるいはメタ存在論について

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1 存在論的コミットメントとその周辺

1.1 世界についての語りと思考

(N)「aはFである」が真であるならば、aは存在する。
「量化されるものは存在する」というのが存在論者における暗黙の了解になっている。
われわれの日常的な語りや信念、世界についてのさまざまな科学的言説をまとめて理論(theory)と呼ぶことにする。

1.2 存在論的コミットメントの基準

存在論者は、ある理論を構成する文から出発し、その文が真であるためには何が存在していなければならないのかを記述する。
存在論的コミットメント(ontological commitment)の基準←W. V. O. Quine
存在するとは変項の値であることである。
クワイン的なメタ存在論
①われわれが承認する理論を構成している文を標準的な論理式に翻訳せよ。
②その翻訳から存在論的コミットメントを取り出せ。
③その存在論的コミットメントを額面通りに受け入れよ。

1.3 パラフレーズ

パラフレーズ(paraphrase)存在論的に適切な仕方での言い換え。
しばしば存在論者たちは、望ましくない対象にコミットする文(あるいはコミットするように見える文)を、存在論的に適切な文にパラフレーズすることで、当のコミットメント(あるいはみせかけのコミットメント)を回避しようとする。
修正的なパラフレーズ(revisonary conception of paraphrase)あるいは革命的なパラフレーズ観(revolutionary conception of paraphrase)において、はパラフレーズ文はオリジナル文の誤りを正す文として捉えられる。
解釈的なパラフレーズ(hermeneutic conception of paraphrase)において、オリジナル文はミスリーディングではあるものの、パラフレーズ文と同じく真であると捉えられる。
・正しいパラフレーズの基準
同値であることは十分条件でも必要条件でもない。
同義性の基準の曖昧さ。

2 理論的美徳 「適切な存在論」の基準について

理論的美徳(theoretical virtues)とは、さまざまな存在論の中での理論選択(theory choice)において用いられる一群の評価基準である。

2.1 単純性

単純性(simplicity)「(他の条件が等しければ)理論はより単純である方が優れている」
構文論的単純性(syntactics simplicity)あるいはエレガンス(elegance)
より少ない原理(仮定、公理、原始概念など)をもつこと。
存在論的単純性(ontological simplicity)あるいは倹約(parsimony)
より少ない存在者を要請すること。
〈倹約について〉
・「オッカムの剃刀(Ockham's razor)」による検証
①世界の説明に関して不必要なものは存在しない。(「オッカムの剃刀」)
②Xは世界の説明に関して不必要である。
ゆえに、③Xは存在しない。
オッカムの剃刀においては、仮想的実在論<仮想的唯名論

・D. Lewissは倹約をふたつに区分する。
質的倹約(qualitative parsimony)とは、存在者のカテゴリーないし種の数を抑える。
量的倹約(quantitative parsimony)とは、カテゴリーないし種の実例(instance)の数を抑える。
様相実在論(modal realism)具体的対象としての可能世界が無数に存在する。
様相実在論は量的には倹約ではないが、質的には倹約。ただし、「時空的に隔絶した無数の可能世界が、現実世界と同様の具体的対象として存在する」という主張の代償(コスト)に見合ったものかどうか。この事例は倹約が無条件に賞賛される美徳ではないことを示している。
〈エレガンスについて〉
・穴(holes)の事例
反実在論者は穴を認めない代わりに、ひと穿ち、ふた穿ちという新たな原始述語(primitives)「それ以上遡って定義することのできない述語」を導入せざるを得ない。ゆえに反実在論はエレガンスをもたない。

エレガンスと倹約はしばしばトレードオフの関係にある。

2.2 説明力

・理論Aは、ある事実に関して、より基本的なレベルでの説明を与えうるのに対し、理論Bはその事実を説明できない、あるいはそれを「原始的事実」として扱うとき、理論Aは理論Bよりも強い説明力(explanatory power)をもつ。
規則性(regularities)について、反ヒューム主義者は自然法(law of nature)の存在に訴えて規則性を説明する。ヒューム主義者は「世界には規則性がある」という事実を原始的事実、それ以上説明できない事実として捉える。
・例えば反ヒューム主義者のひとりであるD. M. Armstrongは、自然法則を普遍的性質のあいだの必然的な関係として、すなわち「F性はG性を必然化する(neccessitas)」という関係として捉える。→二階の普遍者(second-order universals)を含む理論。
・このように説明力と倹約もトレードオフの関係にある。
存在論を比較する際にはコスト-ベネフィット分析(費用便益分析)(cost-benefit analysis)が重要な役割をはたす。

2.3 直観および他の諸理論との整合性

直観との整合性coherence with intuitions)→実験哲学(explimental philosophy)
他の諸理論との整合性coherence with other theories)

3 非クワイン的なメタ存在論

代表的なクワイン以後のメタ存在論には以下の三つがある。
虚構主義(fictionalism)マイノング主義(Meinongianism)新カルナップ主義(Neo-Carnapianism)

3.1 虚構主義

・虚構主義は、クワイン的なメタ存在論の手続き①と②を認めても、そこから③に至る必要はないと説く。ある領域における言説をフィクションとの類似性をもつ言説として捉える→集団的な「ごっこ遊び」(make-believe)のゲームのうちで真とみなされるような言説として捉える。
・しばしば引かれる標語を用いれば、数学は「真であることなく善い(有益な)」(good without being true)理論である。

3.2 マイノング主義

・マイノング主義とは、クワイン的なメタ存在論が前提する存在論的コミットメントの基準そのものを否定する。→量化と存在との結びつき自体を認めない
・マイノング自身は数などの抽象的対象が、虚構のキャラクターなどとは違い、存立(Bestehen/subsistence)というある種の存在をもつと考えていた。しかし、現代のマイノング主義者は存立という存在概念を認めない。
・マイノング主義者たちの一部は、ある(there is)と、存在する(exists)とを区別する。虚構のキャラクターや数はあるが、存在しない。←どう解釈するか議論が分かれている。
・虚構のキャラクターや数を対象として、すなわち、非存在者(non-existent object)と呼ばれる対象として捉えられる。→存在しないものがある

3.3 新カルナップ主義

新カルナップ主義を代表する哲学者E. Hirschによれば、存在論的論争の多くは、世界のあり方に関わるものではなく、たんなる言葉に関する論争(verbal disputes)に過ぎない。
量化子変動(quantifer variance)の原理:量化表現の意味は言語によって異なる。
→存在する、の意味は、それが属する言語の中での振る舞いによって決定される

第一講義 イントロダクション 存在論とは何か→現代存在論講義Ⅰ ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その1 - Lichtung
第三講義 カテゴリーの体系 形式的因子と形式的関係→現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その3 - Lichtung

Keywords 

存在論的コミットメント(ontological commitment)
パラフレーズ(paraphrase)修正的なパラフレーズ観(revisonary conception of paraphrase)解釈的なパラフレーズ観(hermeneutic conception of paraphrase)
・理論的美徳(theoretical virtues)理論選択(theory choice)単純性(simplicity)
・構文論的単純性(syntactics simplicity)あるいはエレガンス(elegance)存在論的単純性(ontological simplicity)あるいは倹約(parsimony)オッカムの剃刀(Ockham's razor)質的倹約(qualitative parsimony)量的倹約(quantitative parsimony)
・様相実在論(modal realism)・原始述語(primitives)
・説明力(explanatory power)規則性(regularities)自然法則(law of nature)二階の普遍者(second-order universals)コスト-ベネフィット分析(費用便益分析)(cost-benefit analysis)
・直観との整合性(coherence with intuitions)→実験哲学(explimental philosophy)
・他の諸理論との整合性(coherence with other theories)
・虚構主義(fictionalism)マイノング主義(Meinongianism)新カルナップ主義(Neo-Carnapianism)
・存立(Bestehen/subsistence)ある(there is)存在する(exists)
・非存在者(non-existent object)
・量化子変動(quantifer variance)