font-family: 'Raleway', sans-serif;

現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その3

 

第四講義 性質に関する実在論現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その4 - Lichtung

目次→現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート0 目次 - Lichtung

第三講義 カテゴリーの体系 形式的因子と形式的関係

f:id:lichtung:20170515220954j:image

存在論とはカテゴリー論である。

1 カテゴリーと形式的因子

1.1 カテゴリーの個別化 形式的因子

・カテゴリーのリストに求められるもの
1. 網羅的(exhaustive)ないし包括的(comprehensive)であること→存在するものであればリストに記載されたいずれかのカテゴリーに属すること
2. (同じ階層にある)カテゴリーは互いに素(disjoint)であること。
3. カテゴリーは何らかの原理に従って体系的に個別化されなければならない。
個別化(individualation):個別化するとは、あるものを一つとして、他のものから区別すること。従って、「カテゴリーの個別化」とは、ある存在者のグループを一つのカテゴリーとして、他のカテゴリーから区別すること。
形式的因子(formal factors):カテゴリーの境界を画定する高次の属性
たとえば、存在するものは、「時空間に位置をもつ」という形式的因子にもとづいて、具体的対象(位置をもつ)-抽象的対象(位置をもたない)との二つのカテゴリーに個別化される。次に具体的対象は、「時間的部分(temporal parts)をもつ」という形式的因子にもとづいて、物(部分をもたない)-プロセス(部分をもつ)としてさらに二つのカテゴリーに個別化される。

1.2 存在論的スクエア

アリストテレスは『カテゴリー論』のなかで、次の二つの形式的因子にもとづくカテゴリーの個別化を行なっている。(a)基体について語られる(b)基体のうちにある
・基体とは、ある文を用いて何かを述べる際にその前提とされるものを指す。
・形式的因子(a)「基体について語られる」における「xはyについて語られる」とは、xがyの何であるかを規定する関係として理解される。
たとえば、「人間はソクラテス(この人間)について語られる」と言われるとき、人間(という種)がソクラテスの何であるかを規定する。
・形式的因子(b)「基体のうちにある」における「xがyのうちにある」という関係は、xがyの部分としてではなくそれに帰属し、かつxはyから離れて存在しえないことを意味する。

 f:id:lichtung:20170514223038j:image

個別実体ないし第一実体はこの人間(ソクラテス)やこの机といった個体である。ソクラテスは、人間や動物といった種とは異なり、他のものの何であるかを規定するものではなく、また、この壁の白さなどとは異なり、他のものに依存して存在するものでもない。
普遍的実体ないし第二実体というカテゴリーには、人間や動物といった種ないし類が属する。こうした種(類)は複数のもの(基体)について、その何であるかを規定する。
これらのカテゴリーに属するものが実体と呼ばれるのは、アリストテレスの言を借りれば「〈類〉と〈種〉だけが第一の本質存在〔個別的実体(もっとも本来的な意味での実体)〕のあり方を明確に示すからである」。
個体が消滅しても存在し続けることができるために、これらのカテゴリーは基体のうちにはない。
個別的付帯性とは、この白さといった個別的性質のことである。こうした性質はそれを持つ存在者の何であるかを規定するものでもなく、複数の存在者について述べられるものでもない。加えて、ある基体のうちにある。
普遍的付帯性というカテゴリーには、白や走るといった普遍的性質が属する。白はある白さを規定する。また、基体のうちにあるという意味は「白が存在するのであれば、必ずなんらかの(個別的な)白さが存在する」と理解できる。

2 形式的関係

2.1 4カテゴリー存在論における形式的関係

・形式的関係→
形式的-存在論的関係(formal-ontological relations)
(i)単一の存在論の構成要素間の関係→存在論(intra-ontological)関係(ii)異なる存在論の構成要素間の関係→存在論(trans-ontological)関係(iii)存在論間の、あるいは存在論と他の存在者とのあいだの関係を指すメタ存在論(meta-ontological)関係
ここでは(i)を扱う。
4カテゴリー存在論(four-category ontology)

f:id:lichtung:20170514223112p:image
(『現代存在論講義I ファンダメンタルズ 』倉田剛(2017)図4より一部改変)
対象→第一実体
様態→個別的付帯性
種→第二実体
属性→普遍的付帯性

f:id:lichtung:20170514223110j:image

(『現代存在論講義I ファンダメンタルズ 』倉田剛(2017)図5、図6より一部改変)
・この体系には表に示したような、以下の三つの形式的関係が現れる。
(a)例化関係(instantiation)(b)特徴づけ関係(characterization)(c)例示関係(explification)
・(a)例化関係は(a1)種と対象のあいだ、(a2)属性と様態のあいだに成立する。
(a1)猫という種は、近所のスーパーにいるタマや公園に住んでいるミケといった個別的対象によって例化される。こうした例化関係は原始概念である。
・(b)特徴づけ関係は(b1)種と属性のあいだ(b2)対象と様態のあいだに成立する。この関係も原始概念である。
(b1)猫という種は雑食性によって特徴づけられる。ところが、猫は三毛色という属性によって特徴づけられる訳ではない。
(b2)ミケは肉も魚も食べるという様態によって特徴づけられる。
例示とは、個別的対象が、直接的に普遍的属性をもつというより、間接的にもつことを示す関係である。
(c)例示関係は、属性と対象のあいだに成立する。例示という形式的関係は原始概念ではない
・(c1)「このコップの水(対象)は、100度で沸騰するという属性を例示する」→このコップの水は、水という物質種を例化し、かつその物質種は100度で沸騰するという属性によって特徴づけられる。→このコップの水は、それが例化する種を経由して、普遍的属性との関係をとり結ぶ。
・(c2)「このコップの水(対象)は、100度で沸騰するという属性を例示する」→コップの水は、現に100度で沸騰している様態によって特徴づけられる、かつその特定の様態は、100度で沸騰するという属性を例化する。
・(c1)は傾向的例示(dispositional explification)(c2)は顕在的例示(occurent explification)と呼ばれる。

2.2 存在論セクステットと形式的関係

存在論セクステット(The ontological Sextet)

f:id:lichtung:20170514223117j:image

存在論セクステット存在論的スクエアよりも倹約的ではないが、物や性質とは異なるあり方をしているようにみえるプロセスを基本カテゴリーにのレベルで導入するという点で、われわれの日常的直観および科学的実践により合致したものだといえる。
存在論セクステットにおける形式的関係は、存在論的スクエアを踏襲しながら、個別的質と個別的性質との関係は、特徴づける→個別的質は個別的実体に内属する(inheres in)という表現へと変更されている。また、個別的実体が個別的プロセスに「参与する」(participates in)という関係を新たに導入している。

第四講義 性質に関する実在論現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その4 - Lichtung