Lichtung

ナンバユウキ|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

2018年2月の本

2018年2月よかった本をメモしておきます。

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

 

『メタ倫理学入門』

ほうぼうで絶賛されている本。噂に違わぬよさでした。理論のだらっとした羅列ではなく、動機と背景とのくっきりした提示はありがたいですね。各章のまとめとして挿入される立場のチャートが記憶や整理に非常に役立ちます。

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

最後にして最初のアイドル (ハヤカワ文庫JA)

 

『最後にして最初のアイドル』

三作品に共通する主人公の「身体へのこだわりのなさ」に注目したいです。ふつうわたしたちはいまのまま健康であることや身体がそのままであることに気をつかいます。健康や維持自体が目的になっています。健康なほうが嬉しいし、変化がないほうが、なじみがいいですよね。

でも、この作品では、身体があっけなく改造されていきます。

その描写に、身体へのこだわりに優先さるべき目的へのこだわりの強さを見て取ることができます。目的とは、ときに、アイドルであることであったり、強大な勢力へのレジスタンスであったり、生き延びることであったりします。

こうした目的への意志がどれほどにつよいのかが、ふつうわたしたちが気づかうような身体への無頓着さから見て取ることができます。なるほどこれらの意志のすべてに共感するかどうかと言われれば難しいです。しかし、その意志のつよさ自体がわたしには美的なものと思われ心惹かれるのです。

こうした「つよい意志」が現時点での草野作品に現れていて、わたしはそれをとても好ましく思いました。

現代思想 2017年12月臨時増刊号 総特集◎分析哲学

現代思想 2017年12月臨時増刊号 総特集◎分析哲学

 

現代思想 分析哲学

秋葉剛史、倉田剛、太田紘史、森功次らの論考を読みました。あとは読みかけも読みかけです。

いいところは、各分野の最新の議論が紹介されていて勉強になるし、それらの魅力的な書きぶりから、じぶんでも考えてみようと思わせられるところですね。森田邦久による時間論を友人と読んでわけわからん……ちょっとわかった……と楽しんだりしました。

わるいところは、どのテーマもあんまり魅力的で、やるべき作業をほっぽって、つい調べ始めてしまうところですね。

ただ、わるいばかりでもなく、美学の問題に取り組んでいるものとしても、他分野の議論の道具立ては参考になるものがいっぱいで勉強になるのです。というのも、分析哲学系の各分野では、異なる分野の議論の流れや動機にある程度互換性があり、同時に、流用した道具立ての適用のうまくいかなさから各分野の特殊性や自分野で取り組むとおもしろそうな問題に気づけたりするのです。