Lichtung

難波優輝|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

プロフィール

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ナンバユウキ

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Twitter: @deinotaton

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プロフィール

分析美学を手がかりとして、フィクション、批評、そして芸術と倫理との関係を研究しています。特に、現在は人間とキャラクタの表象についての理論の構築に関心を持っています。また、批評に美学の道具立てを応用する試みを行なっています。以下、研究関心について説明します。 

1. 芸術とは何か

卒業研究では、「芸術とは何か、そしてそれはどのようにして明らかになるのか」という題のもと、芸術の概念とそれを問う方法論について取り組みました。動機としては、芸術という概念が持つ特有の評価的な含みがどのようにして作り上げられたのかに関心があったからです。
第一に、分析美学における芸術の定義論を取り上げ、その成果から、必要十分条件の探索に加えて、第二に、芸術の概念史を追う必要を主張しました。主には、P. O. クリステラーの古典的著作「近代的な諸芸術の体系」にある、「芸術の体系すなわち、詩・絵画・彫刻・音楽・舞踊という五つの代表的な芸術形式を要素とする一つのグループが18世紀に始めて誕生した」とする主張を、それが依拠するアリストテレスプラトンの言説を精査する限りでは根拠不十分であることを先行する議論を手がかりに示し、芸術の概念史の研究の必要性を主張しました。

2. 芸術から、様々な表現へ

芸術の概念の研究を進める中で、芸術という大きなカテゴリのみならず、絵画や写真、映画や音楽といった様々な形式のそれ自体の特徴に注目する重要性を再確認し、現在では、ファッション、アイドルなどいわゆる伝統的な芸術形式とはみなされないようなポピュラー文化の分析を進めています。
とはいえ、わたしは根っからのアイドルファンでもおしゃれ好きでもありません。しかしだからこそ、こうしたポピュラー文化に興味を持っています。
なぜなら、わたしたちが幼い頃から影響を受けてきた/受け続けているのは、こうしたポピュラー文化における表現であり、ゆえにこそ、生活に織り込まれたポピュラーなものの分析と批判からわたしたちの感性の日常的なあり方が(そしてその倫理的問題が)明らかにされると考えているためです。そこで、特に、わたしたちの身近に存在し、それに深く関わっている表現形式、すなわち、「人間の表象が鑑賞される文化」について取り組んできました。

3. パーソン、ペルソナ、キャラク

具体的には、アイドルやキャラクタをはじめとする人間のあるいは擬人的な表象が鑑賞される文化実践に関心を持ち、これまで、2017年末からネット文化に浸透しはじめたバーチャルYouTuberという、アイドル、YouTuber、そしてキャラクタ文化が重なり合った特徴的な文化について、メディア論、美学、スター研究を手がかりに、パーソン、ペルソナ、そしてフィクショナルキャラクタの三層からなる文化形式についての理論を構築しつつ研究してきました(難波 2018a; ナンバ 2018b)。今後、その美的特徴を明示化しつつ、倫理的問題との関係からも研究を続けていきます。

4. 美学の実践としての批評

こうした理論構築の作業と並行して、分析美学や芸術学において提示された道具立てを批評に応用することを試みています。たとえば、虚構的ポルノグラフィと窃視の倫理性に関する議論を用いた映像批評(難波 2018b)や芸術のカテゴリを用いての(ナンバ 2018a)あるいは、映画の哲学や人形美学の議論を援用した作品批評(ナンバ 2018c)を行っています。
理論と概念は自律的に構築されうるわけではなく、実践や実際の表現を記述、理解するためにあり、逆に、実践と記述は、理論と概念とによって部分的にせよ形作られうると考え、美学研究とその実践としての批評の往復をひとりの実践者として試みています。

研究キーワード
  • 美学、分析美学、芸術の哲学、音楽哲学、批評、フィクション、ポルノグラフィ、パーソン、ペルソナ、キャラク
研究分野
  • 芸術学 / 美学・芸術諸学 / 
書籍など出版物
ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber

ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber

 

ユリイカ』2018年7月号(担当:分担執筆、範囲:バーチャルYouTuberの三つの身体––––パーソン、ペルソナ、キャラクタ)

論文

難波優輝. 2018a.「バーチャルYouTuberの三つの身体––––パーソン、ペルソナ、キャラクタ」『ユリイカ』50 (9) 特集バーチャルYouTuber, 青土社, 117-125. [依頼あり]
難波優輝. 2018b. 「鳩羽つぐとまなざし––––虚構的対象を窃視する快楽と倫理」『硝煙画報』第一号, 81-87. [依頼あり]

個人ブログ記事

ナンバユウキ. 2018a. 「鳩羽つぐの不明なカテゴリ––––不明性の生成と系譜」Lichtung Criticismhttp://lichtung.hateblo.jp/entry/2018/03/25/044503
ナンバユウキ. 2018b. 「バーチャルユーチューバの三つの身体––––パーソン・ペルソナ・キャラクタ」Lichtung Criticism, http://lichtung.hateblo.jp/entry/2018/05/19/バーチャルユーチューバの三つの身体:パーソン

ナンバユウキ. 2018c. 「高い城のアムフォの虚構のリアリズム––––虚実皮膜のオントロジィ」Lichtung Criticism, http://lichtung.hateblo.jp/entry/2018/08/10/『高い城のアムフォ』の虚構のリアリズム:虚実

ナンバユウキ. 2019.「『ガールズ ラジオ デイズ』––––周波数を合わせて」Lichtung Criticism, http://lichtung.hateblo.jp/entry/2019/01/16/『ガールズ_ラジオ_デイズ』––––周波数を合わ

電子発行物

ナンバユウキ. 2018a. 『音楽哲学入門読書ノート』Lichtung Mallhttps://lichtung.booth.pm/items/963883
ナンバユウキ. 2018b. 『高い城のアムフォの虚構のリアリズム––––虚実皮膜のオントロジィ』LIchtung Mallhttps://lichtung.booth.pm/items/960935

関連サイト

研究ブログ:Lichtung http://lichtung.hatenablog.com

批評:Lichtung Criticism http://lichtung.hateblo.jp

電子発行物:Lichtung Mall https://lichtung.booth.pm