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現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その4

第三講義 カテゴリーの体系 形式的因子と形式的関係→現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その3 - Lichtung

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第四講義 性質に関する実在論

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1 ものが性質をもつということ

1.1 何が問われているのか

◾️存在論的(形而上学的)な問い
(I)数的に異なる二つのものが、タイプ的に(質的に)同じであるとはいかなることか。
(II)そもそも対象aがFであるとはいかなることか。
◾️意味論的な問い
(I*)「aとbはともにFである」という文が真であるための必要十分条件とは何か。
(II*)"Fa"という文の真理条件とはなにか。

1.2 存在論的説明あるいは分析について

存在論的説明(ontological explanation)の目標は、「あるものがFである」ためには、世界がどのようなあり方をしていなければならないのか、すなわち世界には何が存在し、存在するもののあいだにはどのような関係が成立しているのかを明らかにすることである。
存在論的分析(ontological analysis)とは、世界で成立する事実を、基本的な構成要素に分解することによって説明する作業のことである。

1.3 実在論による説明

実在論イデアの代わりに性質、分有の代わりに例化(instantiation)と言う言葉を用いて、先程の問い(I)に次のように答える。

(R1)aとbはともにFである⇔aとbは同一のF性を例化している。
(R2)aはFである⇔aはF性を例化している。

・性質を例化するものは、その性質の実例(instance)ないしインスタンスと呼ばれる。
・抑制された実在論は、すべての性質は個別者の性質であるという立場に立つ。
・寛容な実在論は、性質の性質、すなわち高階の性質(higher-order properties)を認める立場である。
アリストテレス主義的実在論は、性質が何らかの実例と不可分である、すなわち、実例を持たない性質は性質ではない、とする立場である。
他方、性質の存在がその実例の存在から独立していると主張する立場はプラトン主義的実在論と呼ばれる。
・普遍者/個別者の区分は例化される/されないという特性、あるいは反復可能性(repeatability)という概念を用いてなされる。

2 実在論の擁護

2.1 分類の基礎

(A)性質は類似性にもとづく世界の諸事物の分類に存在論的な基礎を与える。

2.2 日常的な言語使用

(B)われわれの日常的な言語使用は性質の存在にコミットしている。

2.3 自然法則と性質

(C)自然法則にもとづく規則性の説明は性質(普遍者)の存在を要請する。
・ヒューム主義者は、世界のうちに規則性が認められること自体を否定はしないが、それが法則によって支えられていることを否定する。彼らにとって自然法則といったものは存在せず、あるのは単なる規則性に過ぎない。
・これに対し、反ヒューム主義者はたんに偶然的な規則性から法則的な規則性(真正な自然法則)を区別できると主張する。
・(古典的な)ヒューム主義者によれば、法則と呼ばれるものは個別者への量化のみを含む全称命題(AL)によって表現される。
(AL)すべてのxについて、xはFであれば、xはGである。
反ヒューム主義者のひとりであるアームストロングによれば、
(NL)N(F, G)(F性はG性を必然化する)
と表されなければならないとされる。これはー、二つの性質が必然化関係(neccessitation)と呼ばれる高階の関係に立つことを示している。
・アームストロングの見解が正しければ、自然法則に関する実在論は性質(普遍者)に関する実在論を含意することになる。ちなみにアームストロングはこうした実在論科学的実在論(scientific realism)と呼んでいるが、この用法は一般的な科学的実在論の意味からかなり逸脱する。

3 ミニマルな実在論

ミニマルな実在論(minimal realism)

3.1 述語と性質

・すべての述語が何らかの性質に対応するわけではない。意味による論証(the Argument from Meaning)は誤っている。
例化原理(the Principal of Instantiation)
(I)例化原理:すべての性質Fについて、Fを例化するxが存在する。
(II)ア・ポステオリ原理(経験原理):ある述語がある対象にア・プリオリに(経験によらずに)適合するということが判明しうるのであれば、その述語が対応するような性質は存在しない。
(III)因果的力能の原理:ある対象が何らかの性質をもつのであれば、その性質は当該の対象に特定の因果的力能(casual power)を授けるものでなくてはならない。

3.2 否定的性質

・Fが性質述語(性質を表現する述語)であるとき、Fでない、は性質述語ではない。
第一の論証:Fでないという述語が多くの対象に適合するとき、それらの対象が何らかの点において同一であるがゆえにその述語が適合すると主張することは信じがたい。
第二の論証:否定的性質を認めるとあらゆる対象が全く同じ数の性質をもつという結論が出てしまう。この結論およびその導出の仕方は許容しがたいので、否定的性質は存在しない。
→否定的性質を認めると、任意の二つの対象が同じ数の性質を持つもつことがア・プリオリに決まってしまうので、否定的性質は存在しない。

3.3 選言的性質

・FとGがともに性質述語であるとき、FまたはGは性質述語ではない。したがって、FまたはGであるという選言的性質は存在しない。
第一の論証:aとbという二つの対象があるとする。いまaはf性をもつがG性を欠いている。当然、aには「FまたはG」という述語が適合する。他方、bはF性を欠くがG性をもつ。これよりbにも同じ述語「FまたはG」が適合する。しかしこのことからaとbはある点において類似している、すなわちaとbは、FまたはGという性質を共有すると考えるのは馬鹿げている。
第二の論証:ア・ポステオリの原理に反する。
第三の論証:因果的力能の原理に反する。

3.4 連言的性質と構造的性質

・アームストロングは少なくとも二つのタイプの複合的性質(complex properties)を認めている。連言的性質(conjunctive properties)と構造的性質(structual properties)である。
・選言的性質:FとGが性質述語であるとき、FかつGもまた性質述語である。そしてFかつG
という連言的性質は存在する。
単純な性質のみが存在するという立場に対して、アームストロングはすべての性質が複合的である可能性を示唆している。
また、連言的性質FかつGは、F性(あるいはG性)から区別される性質であるが、両性質のあいだには部分的同一性(partial identity)が成り立つ。
・構造的性質:複合的個別者の性質であり、その個別者の諸部分が例化する諸性質及び関係からなる複合的性質

 

第五講義 唯名論への応答→現代存在論講義I ファンダメンタルズ 倉田剛 まとめノート その5 - Lichtung