Lichtung

難波優輝|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

あの人が自分をほんとうに愛しているかどうかをどうやって知ることができるのか?:愛の認識論的問題に対する愛のニーズ応答説

はじめに 誰かが自分を愛しているかどうかをどうやって知ることができるのか。これは近年「愛の認識論」として盛り上がりをみせるトピックである(cf. Stringer 2024)。 最新の論文の一つ、ライアン・ストリンガーによる「How will i know if he really lov…

天使のための日常美学に抗して:サイトウユリコの日常美学三部作を読んで。

サイトウユリコの三部作 日常美学において強い存在感を放つサイトウユリコの『Everyday Aesthetics(日常美学)』『Aesthetics of the familiar: everyday life and world-making(親しいものの美学:日常生活と世界制作)』『Aesthetics of care: Practice …

ミュージックビデオ論基本文献リスト

これは、私がミュージックビデオ論を書くにあたり探したミュージックビデオ論基本文献リストである。ごく簡単なものであり、研究を尽くすものではないが、しばしば名前が挙がる文献をリストアップしているので、ミュージックビデオ研究をしっかりやりたい人…

お買い物の美学:毎日の食材調達篇

お買い物は様々な美的経験をもたらす行為である、と私は主張する。 私はお買い物が好きである。私は美学者である。美学者というのは日常的な経験(料理や仕事)から非日常な経験(観劇だったり旅行だったり)まで、あらゆる経験における美的な要素を捉えたり…

これは文化ゲーマーのための本である––––デーヴィッド・マークス『STATUS AND CULTURE』黒木章人訳、筑摩書房、2024年、書評。

はじめに たいへんおもしろかった。文化を生み出し動かすのは「ステイタス」への欲求とステイタスを創り出す無数の戦略である、と主張する文化論。カルチャーが好きな人は読むと不愉快になりつつも身の振り方の参考になるかもしれない。 https://amzn.to/3SM…