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Aaron Meskin "Videogames and Creativity" Workshop in Ritsumeikan Report

概要

2017年8月9日、立命館大学にて分析美学者のメスキン教授の発表とワークショップが行われた。本レポートでは、メスキンの発表の振り返りと質問と応答を記す。

Videogames and Creativity ビデオゲームと創造性

はじめに

ビデオゲームプレイヤーは創造性(creativety)を発揮していないとされる。しかしこれは本当だろうか? この発表では、創造性についての定義を概観し、つぎに、ビデオゲームと創造性に関する三つの問いを確認し、ビデオゲームが問題解決(problem-solving)の要素を含むがゆえに創造的であることを示す。

創造性とは何か?

まず、創造性の定義を概観する。まず、ボーデンの定義、グートの定義を紹介し、一般的な定義を採用する。ボーデンは創造性を以下のように定義する。

「創造性とは、新しく驚きを与えるような価値のある概念や人工物をつくりだす能力のことである」

'Creativity is the ability to come up with ideas or artifacts that are new, surprising, and valuable'(Boden, 2004, p.1)*1.

さらにボーデンは 創造性を心理的創造性と歴史的創造性とに区別する。

心理的創造性とは、それを生み出した人物にとって新たな驚きを与えるような価値のある概念をつくりだすことである。」
'P-creativity*2 involves coming up with a suprising, valuable idea that's new to the person who comes up with it' (Boden, 2004, p.2).

「新しい概念が歴史的に創造的であるとは(わたしたちが知っている限り)、それ以前には誰もそれを持っていなかったということ、すなわち、人類史においてその概念がはじめて生じたということを意味する」
'[I]f a new idea is H-creative*3, that means that (so far as we know) no one else has had it before: it has arisen for the first time in human history'(Bodn, 2004, p.2).

ここでは、行為者については注目されてはいない。ゆえにメスキンはつぎのグートの定義を参照する。

ゆえに創造性は、オリジナル(非常に新奇)で、顕著な価値を持つ何かを生み出すセンスを伴う、ある種の創造活動である、

'So creativity in the narrower non-modal sense is the kind of making that involves flair in producing something which is original (saliently new) and which has considerable value'(Gaut, 2003, p.151)*4.

そこで、この発表では定義としてつぎの定義を参照する。

創造性は本質的に新奇さ、価値、そしてある程度の行為者的、かつまたは意図的条件を伴う

Creativity essentially involves in novelty, value, and some broad agential and/or intentional condition.

三つの問い

まず、ビデオゲームと創造性に関する三つの問いを提示する。
1.創造の問題(The creation question):ビデオゲームを作る際に創造性はどのように関係するのか?
2.因果関係の問題(The causal question):ビデオゲームはいかなる程度、創造性を促進し、あるいは阻害するのか?
3.ゲームプレイの問題(The game play question):ビデオゲームプレイはどの程度創造性を持つのか?

1.の創造の問題は明白に創造性を持つと考えられるので、ここでは扱わない。

因果関係の問題

そして、2の因果関係の問題についていくつかの実験を紹介する。しかしそのどれも相関関係のみを提示しており、ビデオゲームが創造性にどのような影響を与えるかについては十分に示せていない。とメスキンは述べる。

ゲームプレイの問題

マインクラフトにおける建築のような創造性、ハックやチートのような創造性、ボイスチャットを用いた対戦ゲームにおける創造性を扱うことはしない。なぜならこれらの創造性は明白だからである。ここでは、一般的なゲームプレイにおける創造性を扱う。

ゲームプレイの創造性は(1) ゲームであるがゆえに、あるいは(2) インタラクティブであるがゆえに生じるのだろうか?
(1) に関して:マルバツゲームのようなゲームから、ゲームであることがただちに創造性の条件ではないことが分かる。
(2) に関して:インタラクティブであることが創造性の根拠であるとは必ずしも言えない。

Problem-solvingとしての創造性

 そこで、メスキンは、問題-解決と創造性に深い関係があることを指摘する。もちろん、すでに存在する手法をなぞるだけの問題解決や、機械によるそれは創造的ではないし、すべての創造性が問題解決に基づくものではない(ex. インプロビゼーション)。しかし、メスキンは以下のように主張する:

ビデオゲームのすべての側面が問題解決的であるわけではない。しかし、問題解決はビデオゲームプレイの中心的な部分である。さらに、多くのビデオゲームにおける問題解決は、機械的なものではなく、既知のルーティンや技術に基づいてはいない。ゆえに多くのビデオゲームにおける問題解決は創造的である。

さらに、ビデオゲームにおける問題解決は

心理的にオリジナル(Psychologically original)である。

機械的に、偶然的には達成されない。

・価値を持っている(「よい戦略」を立てることの価値、美的価値、ルーディック(ludic)な価値)。

ゆえに、一般的な主張として、

ゲームプレイは、高度に問題解決的な活動が含まれているがゆえに、創造的な活動である。

Gaming is, in virtue of the high degree of problem-solving involved in it, a creative activity.

と結論する。

Q&A

Q:ゲームプレイの創造性において、機械が行為者である場合は創造性の定義には当てはまらない。しかし、対戦ゲームのコンピュータ同士の戦いにおける行動は、ときに鑑賞に値するような興味深いものであり、将棋における人工知能の一手は棋士をしてときに「創造的な一手だ」と言わしめる。ゆえに、創造的な行為者を人間だけに限らない可能性もあるのではないか?*5

A:それらは「一見創造的」な例である。ここでは、人間によるゲームプレイの創造性に焦点を当てているので、機械が行為者の場合を除外している。AIによる創造性はこれから議論されうる問題だろう。

また、見かけの創造性と真の創造性との区別も問題になるだろう。この発表で行為者を人間に限定しており、そうした区別の問題は問題の外にある。

あとがき

Meskin教授は笑顔がチャーミングで、蒼い眼が好奇心でくりくりと輝いている印象を受けました。非常にフレンドリーで、どんな質問でも丁寧に答えてくださる方でした。

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"スケッチ、メスキン教授によせて"

 

*1:Boden, Margaret A. The creative mind: Myths and mechanisms. Psychology Press, 2004.

*2:Psychology-Creativetyの略

*3:Historical-creativeの略

*4:Gaut, Berys. "Creativity and imagination." The creation of art (2003): 148-173

*5:実際のわたしの英語による発言はこれほど流暢ではないので、メスキンに十分には伝わっていない可能性があること、そして、日を開けているため、不可避的に自身による補強や言い方の洗練がいくらか加えられていることに注意。