はじめに
ヨーロッパの思想、文学、芸術、歴史にアクセスする際、ラテン語と古典ギリシア語の知識が必要となる場面は多い。現在は独習に適した書物も多くあり、誰でもこれらの言語を学ぶことができる。
とはいえ、直接西洋古典語を学習している知り合いがいない場合、どの書が優れているのかは明らかではない。
そこで、本ノートでは、初学者に向けた学習書のかんたんな読書案内をしたい。
ラテン語や古典ギリシア語に触れたいと思うひと、それから腰を入れて学ぼうと思うひと、さまざまなひとに何らかの益があればと思う。
参考になるよう、筆者の経験に加え、周囲の研究者や指導者の勧めに基づいて選書している。
以下では、1.概観 2.文法学習 3.原書購読の3つに分けて情報を記載する。
ラテン語
1.概観
2.文法学習
次に基礎的な文法学習のためには次の2冊が適している。ただし、本格的に学習する際には、二冊目のものがより優れている。
まず一冊目のこちらは薄く、コンパクトであり、学習の負担は大きくない。とりあえずラテン語を学ぼうというひとに向いている。ただ、この本では英語圏では一般的ではない格変化表を用いている。
というのも、この本では格変化が主格・対格・与格・属格・奪格、の順に記載されている(ふつうは主格・属格・与格・対格・奪格と続く)。そのため、続いて別の本、特に英米圏の学習書を利用する際に混乱するおそれがある。そのため本格的にラテン語を学習するひとには次の本を勧めたい。
こちらは先ほどのものよりかなり分厚い。それだけ例や解説が豊富であり、初学者や中級者にふさわしい。
変化表
また、以下のサイトの変化表は見やすく有用である。
ラテン語文法_Via della Gatta
3.原書購読
原著にあたりながら、読み取れない文章が現れた場合は、2.の学習書に戻りながら、どの文法事項なのかの当たりをつけ、次の網羅的な文法書で詳しい解説をみると良い。
Gildersleeve's Latin Grammar (Dover Language Guides)
- 作者: B. L. Gildersleeve,G. Lodge
- 出版社/メーカー: Dover Publications
- 発売日: 2013/04/26
- メディア: Kindle版
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原文に関しては以下のサイトを参照。英訳もあり、単語検索もでき、快適に読み進めることができる。
古典ギリシア語
2.文法学習
もっとも勧めたい本はこちらである。
こちらの本は見やすく、コンパクトである。CDも付属しており、発音の確認もできる。
残念ながら、2017年7月現在絶版。
一年以上かけて古典ギリシア語と付き合っていくなら、この本がよい。分厚く、実例を豊富に記載している本で、テキスト篇、文法篇、テキストと文法の答え、の三分冊になっており、加えて別売りのCDがある。
Reading Greek: Text and Vocabulary
- 作者: Joint Association of Classical Teachers
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2007/07/30
- メディア: ペーパーバック
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Reading Greek: Grammar and Exercises
- 作者: Joint Association of Classical Teachers
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2007/07/30
- メディア: ペーパーバック
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An Independent Study Guide to Reading Greek
- 作者: Joint Association of Classical Teachers
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2008/04/10
- メディア: ペーパーバック
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Speaking Greek 2 Audio CD set (Reading Greek)
- 作者: Joint Association of Classical Teachers
- 出版社/メーカー: Cambridge University Press
- 発売日: 2008/09/04
- メディア: CD
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3.原書購読
テキストはラテン語の項であげたPerseusが有用。
その際、参考にできる文法書は以下のものである。
定評があるものはこちら。授業や演習ではこの本が指示される。
日本語では以下の本。
辞書
どちらもインターネット上で使える信頼できる辞書がある。
こちらはiOS版アプリケーションもある。