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英語学習のストラテジー

Learning Style English

第3部  英語学習のストラテジー

学習スタイルの記事に関連して、本ノートでは、英語学習におけるストラテジーを紹介しよう。前回の記事の続きになっているが、英語学習を例にして、すぐに実践できる具体的なストラテジーを例示しているので、この記事のみでも独立している。

本ノートで紹介するものには、情報の質において3種類ある。研究によってある程度の信頼性のある手法もあるし、筆者の経験からのみ述べるもの、研究・経験どちらにおいても確度が高いものの3種類である。

単語・語法と文法、それからリスニング・スピーキングの3つに分けて記載する。
複数の研究結果において、良い学習者は、自分がいまなにを目的として、どういうストラテジーを用いて学習しているのかという認知=メタ認知のストラテジーをしばしば用いている。このため、ここに記載された以外にも、自分が用いているストラテジーを意識すること自体が意味のある学習につながっている。河合靖. (1999).元木芳子. (2007). 卯城裕司. (1996).

単語・語法篇

  • 学習初期は英和辞書を用いる、はやいうちに英英辞書を用いる

「英語と日本語の意味を対にして覚える対連合方略の使用」が「文法・語法に関するエラーを起こしやすい方略である」ことが研究で示されている。対連合方略は、犬=dogといった具体的な事物に関しては有効だが、概念的な語彙を学習する段階では微妙なズレを起こしてしまう。小山義徳. (2009). 
これは経験からも例証される。たとえば、「〜と等しい」という日本語に対応しうるのは、equivalent, comparable, corresponding, matching, analogousなどがある。それぞれニュアンスが異なり、日英のみの辞書や単語帳では対応できない。わからない単語はなるべく英英辞書を引いて、ニュアンスの差異を確認することが読解や議論に役立つ。どれがいいかは直接本屋に行くのが良い。
Oxford Advanced Leaner's Dictionary

【DVD-ROM付】オックスフォード現代英英辞典 第9版
加えて、こうした類語のニュアンスを詳しく説明している辞書がある。
Oxford Learner's THESAURUS A dictionary of synonyms

Oxford Learner's Thesaurus Paperback with CD-ROM

  • 単語をグルーピングして覚える:語源・シノニム

上のようなequivalent, comparable...といった類語をシノニム(synonym)というが、意味上のグループをまとめて覚えることは有用である。また、語源を調べることも遠回りに見えて有用であることが分かっている。
黒沢学. (1999). 訳語間の派生関係について推論を求める教示が外国語語彙の獲得に及ぼす影響. 教育心理学研究, 47(3), 364-373.
例えば、-citeという語根はto call, urge、呼ぶ、駆り立てる、という意味を持っている。ここから

  • cite 法廷に召喚する;引用する
  • citation 引用
  • excite 刺激する
  • recite-recital 暗唱する-独奏会

このように語源を学ぶことで、語源を同じくするグループを一気に記憶しておくことができる。上の研究では、語をつなぐイメージを獲得することによるのではないかと推測されている。対連合方略になりがちなので、英英辞書を確認しておきたい。
語源中心英単語辞典 

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読解篇

  • 訳さず読む

英語で理解して必要に応じて訳す。訳して理解してはいけない。和訳して読んでいると確実に速度は遅くなり、全体の意味を取ることが難しくなってしまう。複数の研究でも、和訳しながら読むことが必ずしも優れた読み手の用いる方略ではないことが確認されている。
以下の表3は複数の研究において区別された優れた読み手と未熟な読み手との特徴を分類したものである。有本朱里. (2012)


もしあなたが英文法の知識に不安を覚えているなら以下の参考書が有益だ。これをやれば読解は間違いないだろう。
ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ)

ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ)

リスニング・スピーキング篇

聞き取ったままを書いていくのがディクテーション、そのあとに答え合せをして、自分の聞き取りのミスの傾向を確認する。その後、音声の真似をして文字を見ずに後を追うように繰り返すシャドウイングを行う。 ある程度のリスニング能力がある人には次の本が有用である。

キムタツの東大英語リスニングSUPER (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)

  • 完璧に発音できなくてもいい

スピーキングに関しては詳しい参考書を用いなかった。短い心構えのみ記載しておく。

英語を専攻する147名に対する調査において、65 %の学生が正確な発音で英語を話すことが大切だと考えていた。糸井江美. (2001).しかし調査した研究者が述べるように、「学生にネイティブ並みの発音習得を求めるのは時間的にも無理であり、学生のニーズから考えても非現実的である」ため、許容できる発音を目標にすることや、完璧さを求め過ぎないことが重要であるようだ。

参考文献

・有本朱里. (2012). 英語学習者の読解方略と学習スタイルについて (Part I). JACET 関西紀要, (14), 41-52.

・糸井江美. (2001). 英語学習に関する学生のビリーフ. 文学部紀要』 第 16-2 号, 85-100.
・卯城裕司. (1996). 困難校生における英文解読ストラテジー. 僻地教育研究, 50, 95-104.

・小山義徳. (2009). 英単語学習方略が英語の文法・語法上のエラー生起に与える影響の検討. 教育心理学研究, 57(1), 73-85.
・河合靖. (1999). 外国語自律学習研究の 3 要素: 動機づけ, 学習スタイル, 学習ストラテジ一. 言語文化部紀要, 37, 68-85.

・黒沢学. (1999). 訳語間の派生関係について推論を求める教示が外国語語彙の獲得に及ぼす影響. 教育心理学研究, 47(3), 364-373.
・元木芳子. (2007). 第二言語学習と学習ストラテジー. 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要, (7), 691-702.