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猫の領土

動物の世界はどんなふうにあるのだろうか。


猫を考えよう。ずっと家にいるのではなく、首輪をつけているが、日中は町を散歩している猫だ。彼はいつも決まった順路を歩いているようだ。なにをしているのかを観察していると、彼はいつもの順路に変化が生じていないかを見回っているらしいことに気づく。不審な影はないか、新しく現れたものはないか。
彼はどんな細かい変化も見逃さない。
昨日も一昨日と変わらないから今日はやめておく、ということはありえない。

彼は強迫的な動機に突き動かされているのだろうか?動物の精神科医というものを聞いたことがないが、わたしたちは彼の精神を分析してみよう。

猫は瞬間を生きているようだ。困ったことがあれば困るのはその時だけで、その後にも先にも困らない。また、快楽を得た時もその時限りでお終いにしている。
彼はなにも持ち越さない。あとでこれこれの続きをしよう、とわたしたちはよく言うが、彼は初めと終わりを必ずひと続きのものにしていて、あとでするということはない。彼が再開しているようにみえる行為は、新たにはじめられた行為なのだ。だから同じ行為というものは存在しない。変化には鋭く反応するが、変化しないからといって同じではないのだ。

反復は、つねに一回目の反復である。同じものが同じ形で繰り返されることはない。反復は持ち越されない。