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ディアンジェロは寿司を食べるか?


D'Angelo and The Vanguard - Really Love - YouTube

 

「寿司を食いながらディアンジェロを聴いたことがあります?」

と、ある男がこちらを向いて眉を上げた。

薄暗いライブハウス、200人くらいの小さなハコで開演を待つあいだのことだった。

その男とはさっき知り合ったばかりで、たまたま前にひとりで並んでいる彼に僕が話しかけたのだった。少し痩せぎみの銀縁の眼鏡をした男で、同じく銀色の落ち着いた指輪を薬指に嵌めていた。人好きのする顔はすこしふくろうに似ていてなんとなく親しみを感じてつい話しかけたのだ。

「あ、ないですか。あれはおもしろいですよ寿司の味がしなくなるんです

その男はディアンジェロを聴きながら寿司を食うと寿司の味がしなくなるということを教えてくれたのだった。そのときもけっこう笑ったが、あれから日を経て再び思う。

ディアンジェロを聴きながら寿司を食うと寿司の味がしなくなる

これはさらなる深い問いを孕んでいそうだ。

食と音楽の関係はそれほど広く調べられてはいない。

ディアンジェロという黒さ。音楽のプリコラージュと、寿司という簡素を極めたネタ-シャリのコンビネーション。ともに素材を活かした作品だが、醸し出すリズムや匂いは全く異なっている。それゆえに両者は噛み合わないのだろうか。なにより、

ディアンジェロを聴きながら寿司を食う黒人は寿司の味を知るのだろうか?