Lichtung

ナンバユウキ|美学と批評|Twitter: @deinotaton|批評:lichtung.hateblo.jp

ヴァーチャルリアリティはリアルか?:VRの定義、存在論、価値

近年、ソーシャルVRと言われる『VRChat』のサービス開始(2017年2月〜)や、VRヘッドセットやVR技術の漸進的な普及、そして、VRのアイコンといえるVirtualYoutuber(Vtuber, VTuber)らの登場で、ヴァーチャルリアリティの世界は一段と盛り上がりをみせてい…

芸術と倫理、倫理的批評

芸術の倫理と倫理的批評に関するサーベイ論文を読んだのでまとめました。「倫理的批評って可能なの?」「芸術作品と倫理はどう関わるの?」といった疑問を抱いている方はご一読ください。 ・Giovannelli, Alessandro. "The ethical criticism of art: A new …

A. W. イートン「(女性の)ヌードのなにがわるいのか?」PART II

PRT I→http://lichtung.hatenablog.com/entry/2018/03/17/215144の続きです。 Art and Pornography: Philosophical Essays 作者: Hans Maes,Jerrold Levinson 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr 発売日: 2015/09/01 メディア: ペーパーバック この商品を含む…

A. W. イートン「(女性の)ヌードのなにがわるいのか」PART I

芸術的価値の周辺を探索しています。 Art and Pornography: Philosophical Essays 作者: Hans Maes,Jerrold Levinson 出版社/メーカー: Oxford Univ Pr 発売日: 2015/09/01 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 『芸術とポルノグラフィ』に…

J. グラント「隠喩と批評」

キャロル『批評について』に触発され批評の周辺を探索しています。 取り上げるのは、ジェームス・グラントの論文「隠喩と批評」(2011)。 この論文では、なぜ芸術批評においてしばしば隠喩が用いられるのか、批評家は隠喩によって何を達成しているのかが問…

ノエル・キャロル『批評について』

『批評について』について アメリカはニューヨーク市立大学に勤めている著名な美学者ノエル・キャロルの著作『批評について』(邦訳:2017年 原著:2009年)は次のひとつの問いを問うています:「批評とは何か、そしてそれはどのようなものであるべきか」。 …

2018年2月の本

2018年2月よかった本をメモしておきます。 メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える 作者: 佐藤岳詩 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/08/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 『メタ倫理学入門』 ほうぼうで絶賛されている本。噂…

SEP:社会的構成への自然主義的アプローチ

イントロダクション 社会的構成(social construction)、構成主義(constructionism)、構築主義(constructivism)は、人文社会科学の分野で幅広く使われている用語であり、感情、性別、人種、性別、ホモ・セクシュアル・ヘテロセクシュアル、精神疾患、技…

IEP:概念の古典理論

はじめに 「概念には定義が存在する」と主張する概念に関する「古典理論」についての記事のまとめノートです。 元の記事:インターネット哲学大百科「概念の古典理論」http://www.iep.utm.edu/conc-cl/ 「概念はどうすれば明らかになるんだろう」「定義は便…

芸術社会学とともに、芸術社会学に抗して。ザングウィルとファウラー(1)

はじめに 本稿は、ニック・ザングウィル「芸術社会学に抗して」(2002)(Zangwill, Nick. "Against the sociology of art." Philosophy of the Social Sciences 32.2 (2002): 206-218.)のまとめです。 ザングウィルはこの論文において、「なぜひとは芸術作…

「美学における理論の役割」 モーリス・ヴァイツ

概要 分析的な芸術の定義論争がこの論考からはじまったとされる、モーリス・ヴァイツ(Morris Weitz, 1916-1981)の古典的な論文「美学における理論の役割」(1956)(Weitz, Morris. 1956. “The Role of Theory in Aesthetics.” The Journal of Aesthetics …

「芸術の定義とファインアートの歴史的起源」

概要 近代社会のうちで芸術は本質的にイデオロギー的な機能を持つ。もしこの主張が正しいのなら芸術の定義をめぐる議論は見当違いなもので、取りやめられるべきものである。とする、クロウニーによる「芸術の定義とファイン・アートの歴史的起源」のまとめノ…

SEP:芸術の定義

概要 スタンフォード哲学百科事典「芸術の定義」のまとめです*1。芸術の定義の試みをざっとさらっています。20世紀以前の伝統的な定義については触れず、1950年代からの英米圏における議論を扱っています。 キイ・ワード 芸術の定義、定義に対する懐疑主義、…

SEP: 歴史哲学 PART I

はじめに 本稿はSEP(スタンフォード哲学百科事典)の「歴史哲学(Philosophy of History)」の項のまとめノートである。この記事では、歴史哲学のうちで問われる、歴史の行為者・因果論。そして、大陸系、英米圏の歴史哲学。加えて、史学史と歴史哲学との違…

SEP: プラトン

はじめに 本稿は、SEP(スタンフォード哲学百科事典)のプラトンの項のまとめノートである。 この記事において、イデア説や模倣説といったプラトンの中心的な理論が個別に議論されることはない。それよりも前の問い、「プラトンの作品である対話篇をいかに読…

エイミー・L. トマソン「芸術の存在論論争:わたしたちはなにをしているのか? 」

はじめに 本稿は、芸術の存在論(ontology of art)は諸芸術をひとつに包括するような単一の説明を目指すべきではなく、わたしたちの実践の分析にもとづいた存在論として組み立てられることが必要であると主張する、哲学者エイミー・トマソンの論考のまとめ…

プロフィール

Profile ナンバユウキ 連絡先 Twitter: @deinotaton Mail: deinotaton☆gmail.com(☆を@に変えてください) 関係する分野 美学、分析哲学、芸術社会学。 取り組んでいるテーマ 分析美学における芸術の定義 フィクションはわたしたちに現実についての知識を与…

ジョン・ディック「音楽の歴史および音楽の存在論における完全な対応」

はじめに 本ノートは、音楽のプラトン主義的な音楽作品の存在論において前提とされている「完全な対応の条件(PCC: Perfect Compliance Condition)」に対して歴史的批判を加えることで、それが成立しないことを示す、ジョン・ディックの「音楽の歴史および…

"The Modern System of the Arts" Part I P. O. Kristeller

はじめに 本稿は、クリステラーの著名な論文「近代的諸芸術のシステム:美学史研究」Kristeller, Paul Oskar. "The modern system of the arts: A study in the history of aesthetics part I." Journal of the History of Ideas (1951): 496-527. の読書ノ…

Aaron Meskin "Videogames and Creativity" Workshop in Ritsumeikan Report

概要 2017年8月9日、立命館大学にて分析美学者のメスキン教授の発表とワークショップが行われた。本レポートでは、メスキンの発表の振り返りと質問と応答を記す。 Videogames and Creativity ビデオゲームと創造性 概要 Videogames and Creativity ビデオゲ…

アーロン・メスキン「自己-関与的なインタラクティブフィクションとしてのビデオゲーム」

書誌情報 Robson, Jon, and Aaron Meskin. "Video Games as Self‐Involving Interactive Fictions." The Journal of Aesthetics and Art Criticism 74.2 (2016): 165-177. 章立て 1.イントロダクション2.ビデオゲームとフィクション2.A.ビデオゲーム…

アーロン・メスキン「コミックを定義する?」

書誌情報 Meskin, Aaron. "Defining comics?." The Journal of Aesthetics and Art Criticism 65.4 (2007): 369-379. Defining Comics? - MESKIN - 2007 - The Journal of Aesthetics and Art Criticism - Wiley Online Library 章立て 1. イントロダクショ…

デイヴィッド・ベネター『人間という苦境』第2章 意味

第2章 意味 Meaning この章では、「人生に意味はあるのか」という問いが、どのような問いなのかを確認する。第1節では、人生の意味を問う動機に軽く触れ、第2節では人生の意味をさまざまなパースペクティヴから確認する。第3節では、あるパースペクティヴに…

デイヴィッド・ベネター『人間という苦境』第1章 イントロダクション

『人間という苦境——人生の問題への率直なガイド』 The Human Predicament: A Candid Guide to Life's Biggest Questions *1 はじめに 第1章 イントロダクション 1. 人生の大問題 Life's big questions 2. 悲観主義と楽観主義 Pessimism and optimism 3. …

ラテン語 ギリシア語 スタディガイド

はじめに ヨーロッパの思想、文学、芸術、歴史にアクセスする際、ラテン語と古典ギリシア語の知識が必要となる場面は多い。現在は独習に適した書物も多くあり、誰でもこれらの言語を学ぶことができる。とはいえ、直接西洋古典語を学習している知り合いがいな…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』読書ノート 目次及びPDF

これまで上げてきたものをPDFにまとめました。全60ページです。 内容は変わりありませんが、誤植の訂正とレイアウトの調整を行なっています。 ご入用の方はご連絡ください。 加えて、目次をまとめました。 目次 第1章→ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』 読書…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』第13章 どうして聴かなければならないのだろう

第13章 どうして聴かなければならないのだろう この章では、なぜわたしたちは音楽を聴くのか、という根本的な問いを問う。 ショーペンハウアーの音楽理解が参照されつつ、キヴィの自説が述べられる。 第13章 どうして聴かなければならないのだろう なぜ聴く…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』第12章 そして演奏について

第12章 そして演奏について この章では前章で軽く触れるにとどまった演奏と楽譜の関係について分析する。 第1節では、歴史的な楽譜の変化に触れつつ、楽譜と演奏の関係を、第2節では、作曲家と演奏家の関係を、歴史的に真正な演奏という言葉を軸に分析する。…

"Overdose of Joy" Flashback music

東加古川を中心に活動しているレーベルfastcut recordsの10周年記念ライヴイヴェント"Overdose of Joy"*1。 曽我部恵一、Lamp、Four Pens、Pictured Resort、Sheeprintの5組が出演。 加古川駅からシャトルバスで20分ほど揺られ、到着する。 会場は加古川ウェ…

ピーター・キヴィ『音楽哲学入門』第11章 作品

第11章 作品 この章では音楽作品の存在論をその演奏との関係から展開する。 第1節では楽譜と演奏の関係、第2節では実在論の解説、第3節では極端なプラトニズムに対する4つの反論を検討する。 第11章 作品 1. 楽譜と演奏 作品と演奏の存在論 2.実在論 3.…